ブランディングやブランドって結局何さ

2019.01.06

猫も杓子もブランディングと一言目に出るようになってきました。が...

「ブランドって一体何ですか」「ブランディングって一体何をすることですか」皆様、バチコン答えられますか?

ブランド、ブランディング、ブランド構築などなど言葉が多岐に渡りすぎ、言葉の意味さえも独り歩き、「ブランドって、ブランディングって何」と質問しても帰ってくる答えは様々なのが現状です。

この記事は社内ツールの一環として「ブランド」・「ブランディング」とは何かを定義するとともに、読まれた方のブランドと言うものに対しての理解を深めれたらいいな~のために執筆しています。

そもそもブランドって?

元々、牛飼いが「牛を放逐すると他の牛飼いの牛と自己所有の牛とが混ざってしまう。」という問題を解消するために自己所有の牛にオリジナルの焼きごてで目印をつけました。その「自分のものだとわかる目印」が Burned、後にbrandとなりブランドの語源であり元々の意味です。

そこから転じてブランドとは「自己と他者との差」と言う意味になりました。

自己と他者との差って一体何さ

例えば、ある高級アパレルメーカーにあなたのブランドの特徴はなにか?と聞いたときに、

  • 「高品質」
  • 「モダン的なファッション性」
  • 「アフターサービスの充実」

などの返答が来るとします。
一見するとよくあるキーワードのようですが、それらの特徴には以下のような「本音」が隠れていることがほとんどです。

  • 「(当社の製品は他社とくらべてとっても)高品質」
  • 「(当社の方向性は他社と比べて少し)モダンなファション性」
  • 「(当社のアフターサービスは他社とくらべて圧倒的な)アフターサービスの充実」

()内に含まれている「自己と他者との差」を意識するようなキーワードが出てくるのは当然といえば当然です。なぜなら、「自分にあって相手にないもの」を洗い出すことは、自社サービスの特徴を考える上で最も容易で、誰が見てもわかりやすいからです。

よく勘違いされているのは「ブランドって高級なものなんでしょ?」というブランドが単に高価格帯を意味する言葉だと捉えられている点です。
先程述べたように、ブランドとは「自己と他社との差」ですから、「この店の商品は安い」といった量販的要素もブランドですし、「ここの会社の製品はいつ買っても壊れる」といったクレームだって、言ってしまえばブランドになりうるのです。

それじゃあ、ブランディングって?

「ブランド」という言葉についてお話したところで、次に"brand"に"ing"をつけた「ブランディング」という言葉についても掘り下げてみましょう。

このブランディングという言葉がかなりの曲者で、色々な意味を持ちすぎてしまい、言葉自体が「独り歩き」を超えて「独りフルマラソン状態」です。

「ブランディングって、ただブランドを定義するだけでしょ?」と思った方は、おそらくブランディングのごく浅い段階で満足してしまっているかもしれません。

ブランディングという言葉の多様性については企業やデザイナーごとに異なるでしょうからここでは触れませんが、株式会社みやあじよでは以下の4つのステップをまとめて「ブランディング」としています。

  1. 「ブランド」を定義する
  2. 「ブランド」を共有する
  3. 「ブランド」を活用する
  4. 「ブランド」を広報する

少し小難しい話になりますが、ブランディングの4つのステップの内容とそのメリットを、

  1. 株式会社みやあじよ
  2. 当社が実際にブランディングに携わった老舗和菓子屋(以下A店)

の2つの例を示しながら解説していきます。
ここからが記事のミソですので、もう少しお付き合いください。

1.「ブランド」を定義する

意味はとてもシンプルで「自己のブランドはこれ!」と細部まで決めることです。一般的に「ブランディング」というとこのステップをイメージする方も多いのではないでしょうか。

1-1. 株式会社みやあじよの「ブランド」定義:ホームページやデザインは「手段」である

当社ではまず、「制作の際に大切にするポイントは何か」「他社よりも得意なことは何か」といったことを考え、以下のように決定しました。

(一般的なWEB制作会社と比べて)ホームページやデザインはご依頼者の目的を達成する手段のひとつである、と徹底的に捉えること

1-2. A店の「ブランド」定義:「昔ながらの製法」「ひとつひとつ手作り」「素材に拘る」

ここで少しA店についてお話しておきたいと思います。
諸事情により店名は公開できないのですが、明治から続く地域密着型の和菓子屋さんです。これまで長く対面での販売を続けてこられたものの、売上の低下を機にブランドイメージの一新とネットショップの新規制作を考え、みやあじよにご相談いただきました。

初回のヒアリングでA店に現状のブランドをお伺いしたところ、以下の3点が挙がりました。

  • 明治から続く(大正以降にできた製法にくらべて)昔ながらの製法で作る
  • (他の製菓店にくらべて) 丁寧にひとつひとつ手作りする
  • (現在の職人が以前在籍していた和菓子屋にくらべて)素材全てに拘る

2.「ブランド」を共有する

ブランドを定義したら、まずは社内に共有します。役員から中堅・若手・アルバイト・パートの方、可能であればパートナー企業などに至るまで、事業に関わる全員に対して徹底的に共有します。

共有するときのポイントとしては、数値やより具体的な言葉で伝えると個人個人のズレがなくなり、共有強度が向上します。

3. 「ブランド」を活用する

ブランドの共有が完了したら、次に社内でブランドを活用します。

3.1 株式会社みやあじよ の「ブランド」活用事例 :デザインを複数案から選ぶ

お打ち合わせでのご提案やデザインテイストを決めるときに、しっかりコンセプトが決まっている場合であっても、方向性について社内で意見が割れることがあります。

そのような場合であっても「 ホームページやデザインはご依頼者の目的を達成する手段のひとつである、と徹底的に捉えること」というみやあじよのブランドを社内で共有しているので、「ご依頼者の目的を最も達成できるデザイン 」を選べば良い、いう結論に容易に到達できます。

この判断基準はあらゆる場面で活用できるので、会社やチームの判断が非常に素早くなり、判断のすり合わせで消費する時間もグッと減りますし、何より己の「ブランド」を守ることにつながります。(これがとても重要です)

3-2. A店の「ブランド」活用事例:新商品を開発する

自社で定義、共有したブランドは、新商品を開発する際にも大いに活用することができます。 ここでA店が定義したブランドの要素を確認してみます。

  • 明治から続く(大正以降にできた製法にくらべて)昔ながらの製法で作る
  • (他の製菓店にくらべて) 丁寧にひとつひとつ手作り
  • (昔職人の方が在籍していた和菓子屋にくらべて)素材全てに拘る

A店では上記の要素を守って商品開発を行えば、しっかりとブランドに沿った商品と生み出すことが可能なのです。つまり、極端な話をすると「昔ながらの製法で」「丁寧にひとつひとつ手作り」「素材すべてに拘った」ショートケーキであってもこの店の商品となりえます。

和菓子屋さんがショートケーキを作っても良いし、プリンを作っても良いのです。大切なのは「定義したブランドに沿っているか」ということ。ブランドを活用することにより、自己が持つ本当の魅力を見出し、その魅力で新たな価値を生み出すことができるようにもなります。

4.「ブランド」を広報する

最後は定義したブランドの認知を一般消費者や他社にも広めていきます。取引先や営業先、就職者など、様々な方向に広めて行くのが望ましいです。

4-1. 株式会社みやあじよの「ブランド」広報:キャッチコピーを打ち出す

「 ホームページやデザインはご依頼者の目的を達成する手段のひとつである」 =「売上あげる、おてつだい。」とダイレクトなシンプルキャッチコピー を全面に打ち出し、ウェブサイトや名刺、パンフレットや各情報メディアに使用するようにしました。

当社の制作指針がすぐわかるようになったことにより、共感した方からのご相談・ご依頼が増えた結果、コミュニケーションが円滑になり同じコストでクオリティの高いホームページを納品できるようになりました。

採用活動の面でも、他社とは少し違うコンセプトに惹かれた採用希望者が増え、質の高い求職者を得ることに成功しています。

4-2. A店の「ブランド」広報:新商品をネット通販で販売

結果として、ショートケーキとは異なる洋菓子を店舗やネット通販で展開するようになりました。「和菓子屋が作る洋菓子」として興味を引き、新商品発売後、お客様が増加しただけでなく、既存の和菓子も認知度が高まることとなりました。

ブランディングやブランドって結局何さ

結論として、株式会社みやあじよが考える「ブランド」と「ブランディング」とは以下の通りです。

1.「ブランド」とは、その事業や個人などが持つ差
2.「ブランディング」とは、「ブランド」を確立・認知をさせていくこと

ただし! ブランド、特にブランディングに関しては、もはや造語に近く今でもいろいろな意味が付与され、改変され続けています。
一概に私たちの定義が正しいということではなく、「私はこう思う」「あの人がこう言ってた」といった意見もまた、正しいブランド・ブランディングであるといえるでしょう。

最も大切なこととしては、ブランディングやブランドをどうしていくかを話すときは、明確に「ブランディングやブランドってこういうことだよね」と、全員が同じ定義を共有しておくことです。

全員が共通の考えを持っておかないと、いつまで経っても意見がまとまらず、貴重な午後の会議の時間がすべて無駄になりかねません。

この記事が、誰かのブランディング活動のお役に立ってれば嬉しいなぁ、と思いつつ。

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