はじめに
「実店舗の売り上げも軌道に乗ったし、ECサイトをはじめようかな…」そんなオーナーさんは多いのではないでしょうか。
ECサイトは大きく分けて「モール型」「自社サイト型」の2種類に分類されます。楽天やAmazonといったモール型(ショッピングモール)のECサイトは集客力が高いことで有名ですよね。
「でも、販売手数料が高いって聞くし、自社でオンラインショップを作った方がいいのかな?」
ショッピングモールに出店するか、自社ECサイトを開設するか。今回の記事が、そんなお悩みを解消できる一助になれば幸いです。
モール型ECサイトのメリット
モール型ECサイトでは、買い物に訪れる人との接点や、注文・決済などの仕組みを利用できます。一方、出店や販売にかかる費用、使える機能はモールやプランで異なります。まずは、利用するうえでのメリットを見ていきましょう。

- 集客力が高い
- 出店や販売の仕組みを利用して始められる
- 購買意欲が高いお客さんが多い
- 信頼性がある
モールには、買い物をするために商品を探している人が訪れます。自社ECだけで集客する場合と比べて、見つけてもらう接点を増やせることが利点です。
ただし、モールに人が集まることと、自店の商品が見られて売れることは別です。商品情報や価格、配送条件などを整える手間も見込んでおきましょう。
ショップ自体の知名度が低くても「Amazon」や「楽天」、「Yahoo!」といったブランド力が信頼され、また、購買意欲の高いお客さんが多く購入につなりやすいことも、「集客力が高い」といわれる一因となっています。
モール型ECサイトのデメリット
モールに出店する際は、販売を始めるときだけでなく、運営を続ける間の費用や制約も確認しましょう。
- 出店料・販売手数料など、条件ごとの費用がかかる
- モール内で価格競争が起きる(同じ商材を扱っている場合)
- デザインのカスタマイズが限定的
- 突然の規約変更などで売上げが落ちる場合がある
- 顧客情報の利用や販促に、モールごとの条件がある
費用は、「モールなら10~20%、自社ECなら決済手数料3~4%」と一律には比べられません。楽天市場には月額出店料やシステム利用料などがあり、Amazonでは出品プランや商品カテゴリー、配送方法などで費用が変わります。
自社ECでも、利用サービスの月額料金、決済手数料、必要な追加機能や運営の費用などを確認します。同じ売上・商品・配送条件で、初期費用と継続費用を分けて比べましょう。

過去には、楽天市場の「共通の送料込みライン」をめぐり、公正取引委員会が審査した例があります。同委員会は2021年12月6日、楽天からの改善措置の申出を検討し、実施を確認したうえで審査を終了する方針を公表しました。
これは当時の経緯です。現在の出店を判断するときは、最新の契約や送料の条件を確認してください。
モールのセールを活用する場合も、参加条件や値引き、広告などの費用を確認しましょう。セールへ参加しないと一切来店がないということではなく、自店に合う販売方法と採算を考えることが大切です。
このように、モール側の経営方針と出品者側の経営方針、経営状態に食い違いが生じることもあります。また、モール側に問題が発生すれば、その影響を受けて売り上げが落ちる場合もあります。
モールでは、顧客情報の見られる範囲や使い方に条件があります。ただし、分析や販促がまったくできないわけではありません。たとえば楽天市場では、公式に分析機能やメールマガジンの配信機能が案内されています。
自社が必要とする分析や再来店の案内をどこまで行えるか、利用条件や追加費用も含めて確認しましょう。

自社ECサイトのメリットとデメリット
自社ECは、情報の見せ方や販売の進め方を自社で考えやすい一方、利用する仕組みによって費用や使える機能が変わります。モールの単純な逆ではなく、必要な機能と運営体制で比べましょう。
メリット
- サービスや決済方法を選び、費用の組み合わせを検討できる
- 自社製品の強みや良さを存分にPRできる
- 利用目的や同意などに配慮しながら、顧客情報を分析や販促へ活用する設計ができる
自社ECの利点は、自社の方針に合わせて販売や情報発信を設計しやすいことです。ただし、どの方式でも無条件に低コスト・自由になるわけではありません。サービスの利用条件と、管理や集客に必要な手間を確認しましょう。
デメリット
- 制作方法によって、初期費用や毎月の利用料がかかる
- 集客のための施策が必要
- 開店後、安定した売上を獲得するまでの時間がある程度必要
自社ECでは、制作や設定、商品情報の準備に加え、公開後の更新や注文対応も考える必要があります。初期費用を抑えやすいサービスもあるため、制作費だけでなく、継続費用と自社で行う作業をあわせて比べましょう。
自社ECサイトを効果的なものにするためには、日々の積み重ねが不可欠です。つまり、「安定した売上を獲得するまでには、ある程度時間がかかる」ということです。
例えば、自社の商品をアピールすることばかりに目をとらわれがちになり、消費者目線のECサイトができていないと、集客が不安定になります。また、SNS、オウンドメディア、広告、メールなど集客の手段はいくつもありますが、いずれにしても質の高い情報発信が必要です。
その効果を分析してはじめて、質の高い運営ができるようになります。

運営は紙一重!?実店舗とECサイトを紐づけるキーワード
忘れてはいけないのは、ECサイトでも実店舗でも、本質は「小売」であるということです。「これをやっておけば売れる」という模範解答はありません。
ECと実店舗を組み合わせる場合は、オンラインと店頭の役割を整理しておくと、必要な仕組みを検討しやすくなります。
例えば、実店舗で商品を実際に見てからECサイトで購入する「ショールーミング」や、反対に、ECサイトで在庫検索をしてから店舗に商品を見に行く「ウェブルーミング」など、消費者の行動も多様化しています。

また、「ショールーミング」や「ウェブルーミング」と混同されやすい言葉で、「オムニチャネル」と「O2O」があります。
オムニチャネル
「全て」というニュアンスを表す「オムニ」と、お店から顧客へ商品を届ける流通経路を表す「チャネル」が合わさった言葉です。つまり、「実店舗、ECサイト、カタログ通販…お客さんへ商品を届ける経路はいろいろあるけど、その垣根を超えて組み合わせることで、「お客様にもっと便利に買い物をしてもらおう」という販売戦略がオムニチャネルです。
O2O(オー・ツー・オー)
「Online to Offline」の略で、「Online(オンライン=インターネット上)」から「Offline(オフライン=実店舗などの実地)」へお客様に足を運んでもらうように促す施策の総称です。
「ウェブルーミング」が一連の購買活動を指すのに対して、O2OはWeb上でクーポンを発行して実店舗へ来客を促すなど、様々な施策をいいます。

このように、ECサイトは、必ずしもオンライン上だけの販売方法ではなくなっていることがわかります。 消費者の行動が多様化している中、ターゲットは誰か、どのように集客していくかなど、販売戦略を立てることが重要です。
商品のPRや日々の運営に加え、「お客様にとって必要なことは何か」を考えていく必要があると言えるでしょう。
まとめ
モール型ECサイトと自社ECサイトは、どちらが絶対に優れているというものではなく、集客のしやすさ、手数料、デザインの自由度、顧客情報の持ち方、公開後にどこまで育てたいかで向き不向きが変わります。まずは「すぐに販売を始めたいのか」「自社の世界観や顧客との関係を育てたいのか」を分けて考えると、自社に合う進め方を選びやすくなります。
モール型と自社ECの違いを踏まえたうえで、そもそもECサイトとは何か、どんな役割があり、何を整えると売りやすくなるかを全体から整理したい方は、ECサイトの基本と始め方ガイドもあわせてご覧ください。モール出店と自社ECをどう使い分けるかを、土台から考えやすくなります。
実際に、モールを活用しながら自社ECも育てるべきか、商品構成や運用体制、公開後の改善まで含めて相談したい場合は、ECサイト制作の進め方や支援内容を見ると、自社に合う売り方や進め方を具体的にイメージしやすくなります。
まだモール型から始めるべきか、自社ECを先に作るべきか、両方をどう役割分担するべきか迷っている段階でも問題ありません。目的や体制、売り方の優先順位を整理しながら進めたいときは、お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
参考資料(2026年10月29日確認):楽天市場:出店プランと費用・利用機能/Amazon:出品と販売の費用/Shopify:プランと利用機能/Shopify:決済と利用料/公正取引委員会:2021年12月6日の公表資料/web.dev:フォームのセキュリティとプライバシー。


