SNSで商品やサービスを紹介する人の発信を、広告に活用する方法があります。依頼するときは、伝える相手や内容に加えて、広告であることを読者に分かりやすく示す準備も必要です。
今回は、インフルエンサーの影響力を活用して宣伝を行うインフルエンサーマーケティングについてご紹介します。
1.インフルエンサーってどんな人?
インフルエンサー(influencer)とは、他人や社会に対して影響力のある人という意味です。
インフルエンサーには芸能人やモデルはもちろん、インスタグラムには、おしゃれセンスのあるアパレル販売員や料理の上手な主婦、ユーチューブには、商品や物の紹介、解説をする人、大盛のご飯をもくもくと食べる動画を投稿する人などいろいろな種類の人がインフルエンサーとして活躍しています。
写真や動画は、商品の見た目や使う様子を伝える方法の一つです。ただし、投稿すればフォロワーが増えるわけではありません。人数だけでなく、何を発信し、どんな相手に届いているかを確認して起用を考えます。
起用を考える2つの視点
・広く知ってもらう
広い層に知ってもらいたい場合は、投稿の内容と実際に届いている相手を確認します。フォロワーの人数が多いだけで、認知や購入につながるとは限りません。予算と目的に合うかを見て選びましょう。
・関心の近い読者へ伝える
特定の趣味や分野に関心を持つ人へ届けたい場合は、その分野の投稿内容や読者とのやり取りを確認します。人数が少なくても商品と読者の関心が合うかが検討点です。人数の区分だけで、共感や高い販売効果が得られるとは判断できません。

2.インフルエンサーマーケティングとは
このようなインフルエンサーの影響力を活用して、自社の商品・サービスの広告宣伝を行うのがインフルエンサーマーケティングです 。
主にSNSで、インフルエンサーを使って自社の商品・サービスを利用している様子を写した画像・動画とともに説明テキストや関連ページのURLなどを投稿します。
広告であることを隠して宣伝するステルスマーケティングは、モラルだけの問題ではありません。2023年10月1日から、広告なのに一般の消費者が広告だと分からない表示は、景品表示法の規制対象になっています。対象となるのは、商品・サービスを供給し、表示内容の決定に関与した事業者、いわゆる広告主です。
依頼した投稿では、「広告」「PR」や、提供を受けて投稿していることなどを、読者が分かる形で示します。「#PR」を付ければ必ず十分という意味ではありません。文字の見え方や表示全体を確認し、返信欄にだけ記す方法や、見落とされる場所に埋める方法は避けましょう。商品を無償提供した場合も、それだけで一律に決まるのではなく、依頼や関与の実態を確認します。
YouTubeなどのサービス内の申告・表示ルールと、日本の法令上必要な表示は、どちらも確認してください。サービスの表示機能だけで法令への対応が完了するとは限りません。
3.インフルエンサーマーケティングのメリット・デメリット
メリット

・共感・購買力の向上
投稿者の説明や使用した感想が、商品を知るきっかけになる場合があります。ただし、フォロワーが多いことと、読者の共感や購入は同じではありません。広告であることを明確にし、商品の内容と読者の関心が合うかを確認します。
・投稿者の説明で伝える
日頃の発信の中で、商品の使い方や感想を伝えてもらう方法です。投稿者への好感が、そのまま商品への信頼になるとは限りません。読者が広告だと分かったうえで判断できるよう、表示と説明を整えましょう。
・費用と依頼範囲を選べる場合がある
費用は、投稿者、依頼内容、撮影・制作、確認の回数、投稿後の利用範囲などで変わります。一般の投稿者への依頼でも、打ち合わせや制作、広告表示の確認は必要です。出演料だけを比べず、どこまで含む金額かを見て判断しましょう。
・情報が拡散されやすい
SNSの投稿は、読者の共有を通じて広がる可能性があります。ただし、必ず拡散するわけではありません。依頼した広告を、自然に生まれた口コミと誤解させない表示も必要です。
・認知度、信頼度を高める
使い方や特徴を具体的に説明してもらうことで、商品を理解するきっかけを作れます。依頼した投稿では広告であることを隠さず、表現が実際の商品内容と合っているかを確認しましょう。認知や信頼が高まることを保証するものではありません。
・製品が身近に感じられる
投稿者と読者の関心が商品に合っていれば、使用場面をイメージしてもらう助けになる場合があります。たとえば何に使う商品なのか、選ぶ際に何を確認すればよいのかを、実際の内容に沿って伝えます。読者全体への大きな効果を人数だけで見込まないようにしましょう。
・ほかの広告との役割分担
インフルエンサーによる広告も、読まれることや購入につながることが保証される手法ではありません。広告を避けたい人にも必ず届くとは考えず、ほかの広告や自社サイトと、伝える内容や役割を分けて検討します。
4.デメリット

・誤ったイメージの拡散
SNSは、拡散されやすいことがメリットであると同時に一度拡散した情報を収集することが困難になるというデメリットもあります。そのため、インフルエンサーは商品・サービスを理解せずに宣伝した結果、誤ったイメージが拡散されてしまうリスクが考えられます。そのため、インフルエンサーと商品の共通点がない場合、炎上し、企業価値が下がってしまうこともあります。
・インフルエンサーの選定が困難
フォロワーが多いインフルエンサーが高い広告効果を持っているとは、限りません。商品・サービスとマッチしていない場合やフォロワーを買って偽装しているインフルエンサーも中にはいます。ですので、これからインフルエンサーマーケティングを考えている場合は、キャスティング会社を利用したり、インフルエンサーとコミュニケーションを取るなど、起用するまでに時間をかけることが大切です。
5.どんな商品サービスで効果が現れるの?

SNSの名前だけで、利用者の年齢や性別、拡散や集客の強さを決めることはできません。下表は媒体の優劣を示す採点ではなく、依頼内容を整理するための例です。使える投稿形式や案内方法は、依頼する時点の公式情報と実際の画面で確認します。
| YouTube | X(旧Twitter) | ||
| 見せる内容の例 | 写真や短い動画で伝えたい見た目・使う場面 | 動画で説明したい使い方や比較の過程 | 先に伝えたい要点と補足の説明 |
| 投稿前に確認 | 写真・動画と文章の内容、広告表示の見え方 | 動画全体の説明と広告表示、有料プロモーションの申告 | 投稿本文と画像などの説明、広告表示の見え方 |
| サイトへの案内 | リンクを案内できる場所と条件を確認 | 説明欄などからの案内方法と条件を確認 | 投稿などからの案内方法と条件を確認 |
| 効果の見方 | 見られた数だけでなく、サイト訪問や相談へのつながりも確認 | 再生数だけでなく、サイト訪問や相談へのつながりも確認 | 反応の数だけでなく、サイト訪問や相談へのつながりも確認 |
| 商品・話題の例 | 服や料理、インテリアなどの見た目・利用場面 | 食品、おもちゃ、道具などの使用過程や感想 | イベントや店舗の案内など、先に伝えたい情報 |
6.公式アカウントを育てる

投稿後にどのくらい見てもらえるかは、内容や形式、時期などで異なります。一度の依頼だけで認知が定着するとは限りません。追加の投稿や、投稿を自社サイトなどでも使う場合は、費用と利用できる範囲・期間を依頼時に確認しましょう。
自社のアカウントやサイトも、商品情報や問い合わせ先を確認できるように整えておきます。読者が興味を持った後に、何を見ればよいかを分かりやすく案内するためです。フォローされても、その後の投稿が必ず全員に届くわけではありません。投稿後の反応と、相談・購入までの動きを分けて確認します。
7.まとめ
インフルエンサーマーケティングは、商品やサービスを知ってもらうための選択肢の一つです。投稿者と読者の関心、伝える内容、費用、広告表示をそろえて検討しましょう。フォロワー数や媒体名だけで効果を判断しないことが大切です。
しかし、従来の広告とは異なる性質を持っているため、しっかりと理解を深めていきましょう。
この機会に、是非インフルエンサーマーケティングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料(2026年10月29日確認):消費者庁:ステルスマーケティングの規制/消費者庁:広告主・広告表示に関するQ&A/YouTube:有料プロモーションと開示のルール/Meta:Instagramの写真・リールなどの案内。


