クラウドファンディングの始め方・手順について
クラウドファンディングの始め方・手順は次のとおりです。
- クラウドファンディングの目標設定
- 利用するクラウドファンディングサイトの選定
- プロジェクトの登録・投稿・審査
- プロジェクトの開始
- 支援者・閲覧者への報告
- プロジェクトの終了・支援者への連絡
それぞれ詳しく解説します。
1.クラウドファンディングの目標設定
クラウドファンディングを始める際に実施することは銀行融資と同じです。
どんなプロジェクトをやるのか、プロジェクトの実施でどんな社会貢献を実現できるのか、どれくらいの資金が必要なのか、その資金をどの時期までに調達しないのかを明確にして、クラウドファンディングの目標を設定します。
どこから手をつけてよいのか分からない場合、クラウドファンディングの成功事例を参考にしながら、どの方法が自分に適しているのか検討してみるとよいです。
2.利用するクラウドファンディングサイトの選定
クラウドファンディングの目標を設定したら、利用するクラウドファンディングサイトを選定します。
クラウドファンディングサイトは様々なものがあり、サイトによって得意なジャンル・種類があります。
プロジェクト成功確率を向上させるためには、自社のプロジェクトと相性がよいサイトを選定しなければなりません。
3.プロジェクトの登録・投稿・審査
利用するクラウドファンディングサイトが決まったら、サイト登録してプロジェクトを投稿します。
投稿する際は、タイトルやカテゴリー、目標額、お礼、連絡先、サムネイル画像などを登録・設定したうえで、どんなプロジェクトをやりたいのかを文章でまとめます。
この際、PR動画などがあるとより興味を惹きやすくなるため、おすすめです。
また、原体験やストーリーなどもあわせて掲載しておくと共感を得やすくなり、案件成功確率の向上が見込めます。
ただし、プロジェクトを投稿・登録したからといって必ずプロジェクトを開始できるわけではありません。
プロジェクトの実施は運営側が審査したうえで、実施有無が決まるからです。
4.プロジェクトの開始
審査に通過してゴーサインが出たら、プロジェクトを開始できます。
プロジェクトを開始したら、SNSで情報発信したり、フォロワーに協力を呼びかけたりして広報活動を推進していくのがおすすめです。
ただし、やみくもに情報を発信するのはおすすめしません。
プロジェクトには目標設定期限があるため、悠長に構えると期限内に目標金額に到達しない可能性があるからです。
効率性を高めるためには目標設定期限から1日あたりどれくらいの資金を調達しなければならないかを明確にしたうえで、プロジェクトと相性のよい方法で情報発信する必要があります。
5.支援者・閲覧者への報告
調達した資金をどのように使用しているのか支援者に対して活動報告するのはもちろんですが、同じくらい重要になるのが閲覧者への報告です。
閲覧者は1度、どのプロジェクトを閲覧して、支援するかどうか悩んでいる人達であり、このような人々に訴求する際に有効なのが途中報告です。
あとどれくらいで達成できるか、どんな人に応援してもらっているかなどの経過を閲覧者に伝えれば、賛同者同士の連帯感が生まれるため、支援するきっかけをつくれます。
6.プロジェクトの終了・支援者への連絡
プロジェクトが達成した場合、運営側の手数料を差し引いた支援額が設定した口座に入金されます。
一方、プロジェクトが達成しなかった場合、支援金は支援者に返金されてプロジェクトは終了となります。
ただし、プロジェクトによっては目標額に到達していなくても返金せず、そのままプロジェクトを始められるものもあるため、利用する際は確認が必要です。
また、プロジェクトの達成有無にかかわらず、支援者にお礼の連絡をしたり、お礼の文章を掲載したりして感謝の気持ちを伝えることが大切です。
プロジェクト達成後、事業の進捗状況をブログやSNSなどで公開すると、資金の透明性を確保できるため、支援者との信頼性を構築できます。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、クラウドが群衆、ファンディングが資金調達を意味する造語です。
インターネットを通じて不特定多数の人から資金を少しずつ調達するという意味があります。
起案者は「地域の問題を解決したい」「新しい商品を開発したい」など、実現したいことをクラウドファンディングサイトにプロジェクトとして公開し、支援者から資金を募ります。
その後、プロジェクト内容に共感した人が支援者となり、クラウドファンディングサイトを通じて、資金を支援してくれるという仕組みです。
従来の資金調達方法と違い、起案者・支援者とも手軽に参加できるのがクラウドファンディングサイトの大きな特徴です。
従来の資金調達との違い
従来の資金調達との違いは次のとおりです。
従来の調達方法(銀行融資) | クラウドファンディング | |
事業計画書 | 必要 | 不要 |
融資額 | 事業計画書によっては希望した額に満たないケースもある | 金額を自ら設定できるため、希望した額を得られる |
返済の有無 | 必要 | 不要(リターンという形で返礼すれば良い) |
全体的なハードルはクラウドファンディングの方が低いです。
ただし、クラウドファンディングは目標金額に達成しない場合は資金調達できない可能性があります。
その点も踏まえたうえで、どちらがよいか判断しなければなりません。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングの種類は次の6つです。
- 融資型
- 株式投資型
- ふるさと納税型
- 購入型
- 寄付型
- ファンド型
それぞれ詳しく解説します。
融資型
融資型とは、「ソーシャルレンディング」ともいわれ、事業者を介して資産運用したい個人投資家から小口資金を集めて大口化し、借り手企業に融資するクラウドファンディングです。
投資家から集めた資金を融資するという形のため、支援者はリターンとして利息を得られます。
ただし、融資型クラウドファンディングは金融商品の1つとなるため、事業者は金融商品取引法や賃金業法などの法律を遵守しなければなりません。
株式投資型
株式投資型とは、個人投資家ではなく、株式会社が起案者として実施する資金調達の1つです。
個人投資家へ非公開株を提供する代わりに資金を募るクラウドファンディングで、投資家は投資することで非上場企業の未公開株を取得できます。
ただし、資金調達する企業は年間1億円未満、投資家が投資できる金額は1社あたり50万円と制限があります。
ふるさと納税型
ふるさと納税型とは、自治体が解決したい課題をプロジェクト化し、共感した人からふるさと納税という形で支援を募るクラウドファンディングです。
プロジェクトを選択し支援するまでの流れは、購入型クラウドファンディングなどと同じですが、ふるさと納税の仕組みにより、支援金は寄付金として控除を受けられます。
購入型
購入型とは、プロジェクトに対して支援者が支援金を出し、支援社はリターンとして物やサービスを受け取れるクラウドファンディングです。
支援者は商品やサービスなどを購入する形で支援することから、購入型と呼ばれており、金銭的な見返りがリターンになるわけではありません。
また、購入型の場合、下記2種類のやり方があります。
- All-or-Nothing型:期間内に目標金額を達成した場合のみプロジェクトの成立が認められる
- All-In型:目標金額に到達していなくも支援者がいればプロジェクトの成立が認められる
寄付型
寄付型とは、プロジェクトに対して支援者がお金を寄付するクラウドファンディングです。
一般的な寄付と同様、リターンは発生しませんが、プロジェクトによっては手紙・写真をお礼として受け取れます。
ファンド型
ファンド型とは、株式型と同じく企業が実施する資金調達の1つで、特定事業に対して個人投資家から支援を募るクラウドファンディングです。
投資家は売上や出資額に応じて金銭的なリターンを受け取れる他、事業で作られた商品やサービス、割引券などを受け取れる場合もあります。
また、融資型は元本+利息で利回りが計算されますが、ファンド型は売上にもとづく分配金で利回りが計算されます。
クラウドファンディングを成功させる5つのポイント
クラウドファンディングを成功させるポイントは次の5つです。
- 支援したいと思わせる魅力的なリターン
- 各種集客チャンネルの活用
- 適切な目標金額の設定
- 競合プロジェクトの分析・差別化
- 魅力的なページに仕上げる
それぞれ詳しく解説します。
支援したいと思わせる魅力的なリターン
プロジェクトのリターンは支援するかどうかを決める重要な判断材料です。
どれだけ素晴らしいプロジェクトでも、リターンがイマイチだった場合、支援者からの支援を受けられません。
リターンを設計する際は、支援者に魅力的なリターンであるか、種類は適切であるかなどの視点を持つ必要があります。
各種集客チャネルの活用
各種集客チャネルを活用することも、クラウドファンディングを成功させるポイントです。
魅力的なプロジェクトだとしても認知されていなければ意味がありません。
そのため、SNSやランディングページ、プレスリリースなどの集客チャネルを活用して情報発信することも大切です。
各種集客チャネルを活用すれば、プロジェクトの認知度を向上させられるため、支援を得やすくなり、成功確率を向上させられます。
適切な目標金額の設定
目標金額は第三者が納得するような適切な金額を設定することが大切です。
また、大きな金額を調達したいという場合は、ストレッチゴールを活用することをおすすめします。
ストレッチゴールとは、募集期間内で目標金額を達成した後、新規に目標設定して追加資金を募る資金調達方法です。
始めから大きな金額を設定するよりも、段階的に目標金額を引き上げた方が、支援者の心理的ハードルも下がるため、目標金額を達成しやすくなります。
競合プロジェクトの分析・差別化
クラウドファンディングのプロジェクト総数は累計で5万件以上だといわれています。
膨大なプロジェクトの中から選んでもらうためには、競合プロジェクトの差別化が欠かせません。
競合プロジェクトや成功事例などをしっかりと分析したうえで差別化し、自分のプロジェクトにしかない魅力をアピールする必要があります。
魅力的なページに仕上げる
魅力的なページに仕上げることも、クラウドファンディングを成功させるためには欠かせません。
どれだけ質の高いプロジェクトであっても、支援者に理解されなければ達成できないプロジェクトと判断されてしまい、支援が集まりにくくなります。
このような事態を避けるためには、写真やCG、動画などを活用して支援者が具体的にイメージできるような内容で訴求する必要があります。
「クラウドファンディング 始め方」でよくある質問
「クラウドファンディング 始め方」でよくある質問は次の3つです。
- クラウドファンディングのメリットとは?
- クラウドファンディングのデメリットとは?
- クラウドファンディングの注意点について知りたいです
それぞれ詳しく解説します。
クラウドファンディングのメリットとは?
クラウドファンディングのメリットは次の4つです。
- 資金調達の幅を広げられる
- 市場に出す前に商品をテスト・改善できる
- 商品・サービスの認知度を向上できる
- プロジェクトを通じて事業を育成できる
資金調達方法の幅が広がる他、プロジェクトを通じて認知度向上や事業育成などに寄与できるのが、クラウドファンディングの大きなメリットです。
クラウドファンディングのデメリットとは?
クラウドファンディングのデメリットは次の2つです。
- コミュニケーショントラブルの発生リスク
- 目標金額に到達しない場合は資金調達ができない
支援者がいても目標金額に到達していない場合は資金調達できない可能性があります。
そのため、プロジェクトの成功確率や成功させるためにはどれくらいの支援者が必要なのか、資金調達方法は他にないかなど、事前にしっかりと調べておかなければなりません。
クラウドファンディングの注意点について知りたいです
クラウドファンディングを始める際の注意点は次の3つです。
- 炎上や避難などを受けるリスクがある
- リターンを返す際の負担が大きい
- ページを削除できない
クラウドファンディングは1度、プロジェクトを公開すると目標達成有無にかかわらずページを削除できません。
そのため、後先考えずにプロジェクトを公開すると、競合他社にアイデアを盗まれるリスクもあるため、注意が必要です。
クラウドファンディング 始め方のまとめ
クラウドファンディングは利用するサイトに登録さえすれば、誰でも簡単にはじめられます。
しかし、プロジェクトを開始するには審査に通過しなければならない他、目標をしっかりと設定しておかないと成功させることはできません。
そのため、当記事で解説したクラウドファンディングの始め方・手順や成功させるポイントを参考にしながら、しっかりと準備することが大切です。