IT導入補助金を使いたいけど、IT導入補助金って何だろう…
IT導入補助金の名前は知っているけれど中身がわからない。
今回はそんな方必見!種類・対象者・申請ステップについてわかりやすく解説いたします。
目次
IT導入補助金とは?
IT導入補助金とは、企業の労働生産性向上を目的に、DXや業務効率化につながるITツールの導入を支援してくれる補助金です。
IT導入補助金の対象となるのは、事務局の審査を通過し、補助金ホームページに登録・公開されているITツールとなります。
補助金ホームページに公開されていないITツールを導入してしまうと、補助金の対象外となってしまうため、注意が必要です。
IT導入補助金の種類・補助額
IT導入補助金の種類は次の5つです。
- 通常枠
- セキュリティ対策推進枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス枠(電子取引類型)
- 複数社連携IT導入枠
各種類の概要や補助額について、それぞれ詳しく解説します。
通常枠
通常枠とは、自社の課題に適したITツールを導入して、業務効率化や売上の向上を支援してくれる補助枠です。
通常枠の補助額・補助率は次のとおりです。
補助率 | 補助額 | |
1/2以内 | 1プロセス以上 | 5万円以上150万円未満 |
4プロセス以上 | 150万円以上450万円以下 |
補助額はプロセス数の要件によって変わるため、自社が導入するプロセス数に合わせて補助額を算出する必要があります。
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠とは、サイバーインシデントによる事業停止および、サイバー攻撃被害による価格高騰・供給制約・生産性向上の阻害リスク低減を目的とした補助枠です。
セキュリティ対策推進枠の補助額・補助率は次のとおりです。
補助率 | 補助額 |
1/2以内 | 5万円以上100万円以下 |
インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス対応類型とは、インボイス枠の1つで、労働生産性の向上や、インボイス制度への対応により取引のデジタル化を推進することを目的とした補助枠です。
インボイス制度に対応した会計・決済・受発注ソフトの導入を補助してくれる他、PC・ハードウェアの導入も当枠の補助対象となります。
インボイス対応類型の補助額・補助率は次のとおりです。
【インボイス制度対応の会計・決済・受発注ソフト】
補助率 | 補助額 |
3/4以内(中小企業)4/5以内(小規模事業者) | 50万円以下 |
2/3以内 | 50万円超~350万円以下 |
インボイス制度対応の会計・決済・受発注ソフトの導入にあたっては、機能要件をはじめさまざまな条件があります。
そのため、インボイス制度対応の会計・決済・受発注ソフトの導入でインボイス対応類型を利用する場合は各種条件をしっかりと理解しておかなければなりません。
【PC・ハードウェアなど】
補助対象 | 補助率 | 補助額 |
PC・タブレット | 1/2以内 | 10万円以下 |
レジ・券売機など |
インボイス枠(電子取引類型)
電子取引類型とは、インボイス枠の1つで、インボイス制度に対応している受発注システムを商流単位で導入する企業を支援する補助枠です。
取引関係の発注者がインボイス制度対応の受発注システムを導入して、取引関係にある受注者に対して無償アカウントを供与・利用する場合、導入費用の1部を支援してくれます。
電子取引類型の補助額・補助率は次のとおりです。
補助対象 | 補助率 | 補助額 |
中小企業・小規模事業者など | 2/3以内 | ~350万円以下 |
その他の事業者など | 1/2以内 |
複数社連携IT導入枠
複数社連携IT導入枠とは、サプライチェーンや商業集積地に属している複数の企業が連携してITツールを導入して生産性向上を目指す取り組みを支援する補助枠です。
複数の企業が連携してITツールを導入し地域DXの実現や生産性向上を目指す取り組みに対して、包括的な支援を実施することを目的としています。
複数社連携IT導入枠の補助額・補助率は次のとおりです。
【基盤導入経費】
補助対象経費 | 補助率 | 補助額 | ||
ソフトウェア | 3/4以内もしくは4/5以内 | 50万円以下×グループ構成員数 | 3,000万円以下 | |
2/3以内 | 50万円超~350万円以下×グループ構成員数 | |||
ハードウェア | PC・タブレットなど | 1/2以内 | 10万円×グループ構成員数 | |
レジ・券売機など | 20万円×グループ構成員数 |
【消費者動向等分析経費・その他経費】
補助対象経費 | 補助率 | 補助額 | |
消費者動向等分析経費 | 2/3以内 | 50万円以下×グループ構成員数 | 3,000万円以下 |
その他経費 | 2/3以内 | 200万円以下 |
複数社連携IT導入枠は、利用する事業者や基盤導入費をはじめとする合計額などによって、補助率や補助額が変わります。
そのため、利用前には内容をしっかりと理解しておく必要があります。
IT導入補助金の対象者
IT導入補助金の対象となるのは日本国内で法人登記され、日本国内で事業を営んでいる法人・個人かつ、生産性向上を目的にITツールを導入する中小企業・小規模事業者です。
大企業は原則、補助対象となりません。
しかし、インボイス枠(電子取引類型)の場合、中小企業・小規模事業者と受発注取引をしている事業者であれば大企業でも補助の対象となります。
中小企業
補助対象となる中小企業は次のとおりです。
業種・組織形態 |
資本金(資本金額又は出資総額) | 従業員(常勤) | |
資本金・従業員規模の一方が、右記以下の場合対象(個人事業を含む) | 製造業・建設業・運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 | |
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万人 | 100人 | |
小売業 | 5,000万人 | 50人 | |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤおよびチューブ製造業・工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 | |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 | |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 | |
上記以外の業種 | 3億円 | 300人 | |
その他の法人 | 医療法人・社会福祉法人・学校法人 | - | 300人 |
商工会・都道府県商工会連合会および商工会議所 | - | 100人 | |
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 | - | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
特別の法律により設立された組合・連合会 | - | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
財団法人(一般・公益)・社団法人(一般・公益) | - | 主たる業種に記載の従業員規模 |
小規模事業者
補助対象となる小規模事業者は次のとおりです。
業種・組織形態 | 従業員(常勤) |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 |
IT導入補助金の申請ステップ
IT導入補助金の申請ステップは次のとおりです。
- 本事業の理解
- IT補助金申請に向けた事前準備
- 交付申請
- 採択・交付決定
- 補助事業の開始・事業実績の報告
- 補助金の交付手続き
- 事業の実施効果報告
それぞれ詳しく解説します。
1.本事業の理解
IT導入補助にはさまざまな補助枠があり、補助枠によって要件や補助率、補助額が違います。
経営課題を洗い出したうえで、補助金の内容を理解することが大切です。
2.IT導入補助金申請に向けた事前準備
IT導入補助金申請に向けた事前準備をしていきます。
事前準備で実施すべきことは次の4つです。
- IT導入支援事業者の選定
- 導入するITツールの選定
- gBizIDプライムのアカウント取得
- SECURITY ACTION・みらデジ経営チェックの実施
gBizIDプライムのアカウント発行は申請から約2週間ほどかかります。
アカウント発行が間に合わず、申請ができないという事態を避けるためにも、事前準備の早い段階で発行申請しておく必要があります。
3.交付申請
交付申請の事業計画を策定していくステップです。
交付申請のステップではあるものの、この段階でITツールの発注・契約は実施してはいけません。
交付申請の流れは次の4ステップです。
- IT導入支援事業者から「申請マイページ」へ招待してもらい、申請者の基本情報を入力
- 申請に必要な情報を入力し、書類を添付する
- IT導入支援事業者が導入予定のITツール情報と事業計画値を入力する
- 申請マイページ上にて入力内容の最終確認と申請の宣誓を実施して事務局に提出
4.採択・交付決定
提出した書類をもとに審査が実施され、採択の可否が判断されます。
無事に採択され、事務局から交付決定が下されれば、次のステップへの移行が可能です。
5.補助事業の開始・事業実績の報告
事務局から交付決定後、補助事業を開始します。
このタイミングでITツールの発注・契約・支払いなどが可能です。
ITツールの導入などを実施し、補助事業が完了したら、ITツールの発注・契約・納品・支払いの実態が分かる証憑を提出します。
提出の流れは次のとおりです。
- 企業が「申請マイページ」より事業実績報告に必要な情報と証憑を添付し、事業実績報告を作成
- 事業実績報告作成後、IT導入支援事業者が内容を確認、必要情報を入力
- 最終確認を実施、企業が事務局に事業実績報告を提出
6.補助金の交付手続き
事業実績報告の審査が終了したら、補助金額が確定します。
補助金額は「申請マイページ」より確認でき、内容を確認した後、補助金が交付される仕組みです。
7.事業の実施効果報告
事業が終了したら、効果報告期間内に事業の実施効果報告を実施しなければなりません。
報告しなければならない実施効果は次の2点です。
- 売上・原価といった生産性向上にかかわる数値目標に関する情報インボイス制度への対応状況
- ITツールを継続的に活用していることを証明する書類給与支給総額・事業場内最低賃金など
実施効果報告は、補助事業者が「申請マイページ」より必要事項を入力し、IT導入支援事業者が内容を確認して提出します。
IT導入補助金とはでよくある質問
「IT導入補助金とは」でよくある質問は次の4つです。
- IT導入支援事業者とは?
- IT導入補助金の採択率を上げるためのポイントとは?
- IT導入補助金のメリットとは?
- IT導入補助金のデメリットはありますか?
それぞれ詳しく解説します。
1.IT導入支援事業者とは?
IT導入支援事業者とは、IT導入補助金の利用を検討している企業に対して、ITツールの説明・導入・サポートの他、IT導入補助金の交付申請や手続きのサポートなどをしてくれる事業者のことです。
IT導入支援事業者になるためには、事務局に登録申請したうえで、事務局および外部審査委員会の審査を通過し、採択される必要があります。
2.IT導入補助金の採択率を上げるためのポイントとは?
IT導入補助金の採択率を上げるためのポイントは次の2つです。
- 審査項目に合った内容で申請書を作成する
- IT導入補助金の加点項目を満たしている
IT導入補助金の加点項目とは、一定条件を満たしておけば採択に有利となる要素のことです。
「導入予定のITツールがクラウド製品として選定されている」「導入予定のITツールがインボイス制度対応製品として選定される」など、さまざまなものがあります。
3.IT導入補助金のメリットとは?
IT導入補助金を利用するメリットは次の4つです。
- 生産性・業務効率化の向上
- 業務効率化による離職率の低下や従業員の意欲向上
- 返済の必要がないお金を得られる
- さまざなITツールが補助対象となっている
IT導入補助金を上手く活用できれば、ITツール導入にかかる負担を大きく軽減できます。
4.IT導入補助金のデメリットはありますか?
IT導入補助金を利用するデメリットは次の4つです。
- 補助金は後払いであるため、自費で全額支払う必要がある
- 確実に補助金を受け取れるわけではない
- 書類・手続きに時間・労力がかかる
- 交付決定されないとITツールを導入できない
費用負担は大きく軽減されますが、補助金は後払いであるため、まずは自費で購入金額を全額支払わなければなりません。
そのため、購入費用はきちんと確保しておく必要があります。
IT導入補助金とは まとめ
IT導入補助金とは、生産性向上を目的にITツールを導入する国内の中小企業・小規模事業者を対象にした補助金です。
IT導入補助金はさまざまな補助枠があり、枠によって要件が異なる他、利用にあたってはIT導入支援事業者が必要であるなど、さまざまなポイントを押さえておく必要があります。
そのため、IT導入補助金を利用する際は、自社の経営課題を明確にするとともに、しっかりとポイントを押さえたうえで申請を進めていかなければなりません。
みやあじよもIT導入支援事業者として、IT導入補助金のサポートをしております。IT導入支援事業者を探している、補助金を利用したいけど細かいことが分からないという方は、みやあじよにご相談ください。