日本におけるサービスの経緯
サービスという言葉は日常的に使われていますが、本来は英語です。いつから日本にサービスという概念が来て、どのように普及したのかを解説していきます。
日本におけるサービスのはじまり
日本で「サービス」という言葉を最初に広めたのは自動車業界です。
1912年に日本自動車工業会会長の石澤愛蔵がアメリカを訪問した際、アメリカで盛んなサービスステーションの可能性を目の当たりにしました。
この時石澤は「サービスステーションという概念を日本に持ち込もう」と決意し、ハガキに「サービス」と書いて同僚に送ったのが、日本で「サービス」という言葉が使われるようになった始まりと言われています。
当時はまだサービスステーションという言葉は浸透していませんでしたが、その後海外の自動車メーカーが日本で工場を設立し事業を開始する際に採用されました。
サービスの普及
1925年にはフォード社が横浜に、1927年にはGM社が大阪に進出しました。彼らは欧米のサービスの概念を持ち込み、日本各地に正規のサービスセンターを開設し、やがて「サービス」という概念を全国に普及させました。
サービスとは?
ここではサービスの語源や意味、サービスとホスピタリティとの違いを解説します。
サービスの語源
日本語の「サービス」は、英語の "service "に由来しています。英語の "service "は動詞 "serve”の名詞形で、誰かを助ける、部下として働くという意味を持ちます。その語源はラテン語の "servus”(仕える、奴隷)に遡ります。
サービスの意味
サービスとは、見返りを期待せずに、他人のために行う努力のことを指します。
家族への気遣いや接待、割引、店でのもてなし、ちょっとした作業や用事、物質的な生産プロセスから外れた労働の提供などがサービスにあたります。
ホスピタリティとの違い
仕事におけるサービスとは、対価として何かを提供することであり、レストランでのウェイターがその一例です。
一方ホスピタリティは、お客様のニーズや欲求を満たすために、自発的かつ善意で関わることを指します。この利他的な行為は、報酬を伴う労働であるサービスとの違いです。
「service」の意味
"service"の意味を名詞・動詞で使用される場合に分けて解説します。
名詞で使用される際の意味
"service"の名詞には次の意味があります。
- 点検、修理
- 奉仕、世話、貢献、尽力
- 勤務、勤労、雇用、業務
- 接客
- 公共事業
- (ガス・水道の)供給
- 軍務、兵役
- 宗教的な儀式、礼拝
このように"service "には日本語よりも広い意味を持ち、兵役や宗教的な儀式や行事も含まれます。また他者への奉仕やもてなし、公共事業や公的な物資の提供といった意味合いもあります。
動詞で使用される意味
"service"の動詞には次の意味があります。
- 修理(補修)を行う
- サービス(情報)を提供する
- 債務返済を行う
"service"の動詞は、名詞に比べると使用頻度が低い傾向にあります。日本語の「サービス 」のように「修理する」「サービスを提供する」といった言葉が一般的です。さらに「借金の返済をする 」という意味合いも持っています。
サービスの言い換え
サービスには数多くの言い換えがありますが、ここでは代表的なものを紹介していきます。
奉仕の類語
奉仕の代表的な類語は以下の通りです。
- 勤
- 勤仕
- 務め
- 勤め
- サーヴィス
- 仕え
- 勤務
接待の類語
接待の代表的な類語は以下の通りです。
- 構いつける
- 遇する
- 構付ける
- 馳走
- 供応
- 摂待
- 構い付ける
- 振るまう
接客の類語
接客の代表的な類語は以下の通りです。
- 相手になって受け答えをする(応対おうたい)
- 受け答え(する)
- (冷たく)あしらう
- あしらい ・人あしらい ・ 客あしらい
- 座持ち
- (訪れる客に)応接(する)
- 客をさばく ・ 客さばき
- (丁重に)応対(△する[ぶり])
- (客を)もてなす
サービスの間違った使用方法
日常的に使用しているサービスという単語ですが、本来の意味とは異なった、間違った用途で使われているものがあります。
代表的なサービスの間違った使用方法を2つ紹介します。
タイムサービス
日本語では「タイムサービス」と呼ばれる言葉は、英語では "afternoon (morning) special" と表現するのが正確で、 "service" や "discount" という用語は含まれていません。
サービス価格
日本語の「サービス価格」という言葉は、英語だと「サービスの対価」に対して、「特別価格」「割引価格」に相当するものです。
そのため英語で表記する場合、"service price"に"service"を含めるのは誤りである。
言い換えを助けてくれるサービス
言い換えを助けてくれるサービスはさまざまありますが、ここでは代表的なアプリを紹介します。
オンライン辞書・類語辞典アプリ
言葉が出て来なかったり、漢字の意味が分からなければ辞書を引きましょう。最近ではオンライン辞書もあり、関連情報などたくさんの情報が得られます。
定期的に新しい言葉に親しむことは、語彙を増やすのに有効です。
goo辞書
goo辞書は、国語、英和、和英(合計約46万語)で構成され、オンラインで閲覧可能な辞典です。単語を入力し、すべての辞書を同時に検索すると、各辞書の関連ページへの接続がポイントごとに表示されます。さらに、検索語をそのままに辞書を切り替えることができ、ウェブ検索も可能な使い勝手の良いインターフェースであるのが特徴です。
そのため、不明な単語を簡単に調べられるだけでなく、フレーズやセンテンスから文脈を理解するのにも役立つでしょう。
weblio類語辞典
Weblioは、さまざまな辞書ツールの機能を組み合わせた総合的な辞書です。独自のアーカイブの他に、Wikipedia、IT用語辞典バイナリ、生物学用語辞典、植物学用語辞典、タレントデータベースなどのデータベースの統合検索機能を備えています。さらに、同義語辞書、英和、和英、和中、中日、日韓、韓日、古語、手話辞書、インドネシア語、タイ語など、さまざまな言語の辞書を備えています。
Weblioは特に文章を書くときに、同じ言葉を繰り返さずにどう表現したらいいか困ったときに役立つ、言い換え表現を豊富に取り揃えており、知らない表現に出合える便利な辞書です。
国語辞典・英和辞典・和英辞典 一発表示辞書アプリ
4つのサイトから同時に検索できるのが特徴です。また、文章中の単語を入力しても、関連する用語のリストが表示され、検索しやすいのも嬉しいポイントです。
国語辞典(26,000語)、英和辞典(44,000語)ともに豊富な語彙を収録しており便利な辞書アプリです。
じしょ君
日本語、和英、英和など4つの辞書が用意されており、言葉の定義を効率的に調べられる辞書アプリです。アプリに単語を入力し、該当する辞書を選択してボタンを押すだけで、簡単に検索でき、英語の発音も聞くことができます。
また、気になる単語は自分の単語帳に追加する機能もあり、興味のある方はぜひお試しください。
三省堂辞書
日常生活、勉強、ビジネス、趣味、海外旅行など、さまざまなシーンで役立つ信頼性の高い辞書です。Android端末向けアプリで、複数の辞書をユーザーに提供しています。言葉の正確な定義を把握したい方におすすめです。
日本語入力ソフト
一般的な日本語入力ソフトは、OS(Operating System)に日本語入力機能が組み込まれており、どのアプリケーションソフトからでも同じ方法で日本語を入力できます。
またWindowsには、多言語のテキスト入力を支援するIME(Input Method Editor)も用意されています。
ATOK
ATOK (Aozora Text-to-Kana) は、ジャストシステムが開発した、キーボードから日本語の文字を入力し、五十音である「かな」に変換することができるソフトウエアです。
ATOKを使うことで、日本語の文字をカナ表記に変換する手間を省くことができます。
また、ひらがなやカタカナなどのカナ文字に、文脈を自動的に判別して発音記号を付加することができるのも大きなメリットです。
Microsoft Officeなどのプラグインとして動作するため、非常に実用的なソフトです。
ATOKは、独自の辞書で利用できるキーワード検索、見出し語検索、部首検索などの迅速で便利な検索機能を提供することも可能です。
また専用のサポートサイトがあり、ソフトの個別サポートを受けることができます。ATOKは、日本語や漢字の入力やかな漢字変換を素早く効率的に行いたい方に、非常に有用なソフトウェアです。
Google日本語入力
Googleは、日本語入力ソフト(通称:Google IME)が無償で提供しているソフトで、ユーザーは面倒な変換をすることなく、好きな言葉を入力することができます。
IMEは入力されたデータを文字に変換するだけでなく、変換候補が一覧表示され便利です。例えば「ごめん→(_ _;)」「ありがとう→m(_ _)m」と入力すると絵文字が表示され、「きょう」と入力するとその日(年・月・日)の日付が表示されます。
また、変換候補の補足情報を作成するなど便利な機能が豊富で、Webサイトやニュースレターの文章を日常的に編集している方には特に重宝するサービスです。
類語辞典アプリを選ぶ際の6つのポイント
類語アプリを選ぶ際の6つのポイントは以下の通りです。
- 収録語数
- 類語以外の辞書の収録有無
- 検索のしやすさ
- 履歴・ブックマーク機能有無
- カスタマイズ機能の有無
- 用途に適しているか
1.収録語数
収録されている単語の数をチェックしましょう。
量が多ければ多いほど豊富な選択肢があり、さまざまな表現を学べます。
メモや手紙といった一般的な用途であれば、多すぎると細分化しにくいため、3万字もあれば十分でしょう。
2.類語以外の辞書の収録有無
類語以外の辞書が搭載されていることを確認しましょう。英語の類語、日本語の辞書、英和・和英の辞書があれば、追加の辞書は不要となり、一つの辞書の中で単語を検索することができます。
また、辞書間の横断が可能なアプリケーションを検討することで、辞書を切り替えることなく簡単かつ迅速に検索を行えて便利です。
3.検索のしやすさ
文字検索を簡単にするために、サジェスト機能付きのキーワード検索がついた辞書がおすすめです。漢字に不慣れな方でも、手書き入力で部首や偏を使った文字検索が可能です。
また、前方一致、後方一致、部分一致、完全一致などの検索方法を活用することで、より詳細な検討が可能となり、曖昧な言葉も容易に探し出すことができます。
4.履歴・ブックマーク機能有無
登録機能やマーカー機能は、頻繁に文章を作成される方にとって、大変便利な機能です。検索履歴を活用したり、よく使うフレーズを保存したりしておけば文書作成が捗るでしょう。
また、重要な表現をブックマークしておくことで、次に利用する際に思い出しやすくなります。
5.カスタマイズ機能の有無
カラーパレットや色相、フォントサイズの調整など、表示設定を変更できれば、より辞書を便利に活用できます。
目の優しさを考慮するなら、無地やナチュラルカラーのアプリを選ぶとよいでしょう。
6.用途に適しているか
類語辞典に含まれる単語は、よく使われる単語だけでなく、あまり使用されない単語も含まれています。
ブログや小説などの文章を作成する際は、一般的な口語表現と言い回しの両方を収録した類語辞典アプリを使用すると、現代的な言葉で文章を作成しやすくなるのでおすすめです。
ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変換できるアプリは、人脈作りや仲間との会話に役立ちます。
手紙を書く時は、古典文学や季語の類語を利用できるアプリが便利です。豊富なフレーズから相手やイベントに合わせた表現でアウトプットすることができます。俳句や短歌を趣味としている方はもちろん、能や歌舞伎、伝統文学をより深く理解し、見聞を広めるためにも利用できます。
サービス言い換えのまとめ
英語がそのままカタカナ語となり定着した「サービス」には、さまざまな意味合いがあります。「サービス」で使われる表現の中には、英語では使用されず、日本のみで使われている単語もあります。
サービスにはさまざまな言い換え表現がありますので、辞書アプリ等を使い、いろいろな表現に触れていきましょう。