【HP運営者必見】消費税総額表示の義務化とは?
消費税総額表示の義務化とは、商品やサービスを提供する「消費税を収める義務がある事業者」が対象のルールです。つまり、一般消費者向けに商品販売やサービス提供をおこなう事業者すべてが対象者となります。店舗商品の値札やチラシで商品やサービスの価格を表示する際、必ず消費税を含めた金額を提示しなければなりません。なお、事業者間での取引の場合は消費税総額表示の義務化の対象外です。
消費税総額表示を義務化することで、すべての商品やサービスの価格が税込表示されます。一般消費者にとっては、値札やチラシを見ただけで支払い金額がすぐわかるのがメリットです。購入の検討・他の商品やサービスとの比較などもしやすくなります。つまり、一般消費者にとっても商品やサービスを買うときに選ぶ基準になるでしょう。店舗の値札・チラシ・ホームページの金額表示などは、一般消費者がわかりやすい消費税総額表示をしましょう。
消費税総額表示ができない場合の罰則は?
現時点で、消費税総額表示ができない場合の罰則はありません。そのため、今のところは違法になる可能性も少ないです。「それなら、消費税総額表示に変更しなくても問題ないのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、多くの事業者が商品やサービスの金額を消費税総額表示に変更していっているのは事実です。その中で、金額を税抜き表示のままにすると、以下のようなリスクがあります。
- 購入を検討していた人が価格を見て、「この事業者は消費税総額表示の義務化を知らないのか」と不信感を抱く
- 「税込金額だと思っていたのに税抜きだった」などの理由でクレームが入る
消費税総額表示に対応しないデメリットは大きいです。だからこそ、早めに消費税総額表示に対応しておきましょう。
消費税総額表示に対応しない場合のデメリット3つ
ここでは、消費税総額表示に対応しない場合のデメリットを3つまとめました。
- 読者からの信頼性ダウンに繋がる
- 罰則が設けられた際のリスクが上がる
- 読者の混乱を招く可能性がある
それぞれ順番に解説します。
読者からの信頼性ダウンに繋がる
消費税総額表示に対応しない場合、読者からの信頼性ダウンに繋がるでしょう。現在、多くの店舗や企業が消費税総額表示に対応しています。コロナ禍の影響で外出する機会も減り、実際の店舗での買い物よりもネットショッピングを利用する機会が増えました。そのため、一般消費者によってはWebサイト上の商品価格が基準になることも多いでしょう。その場合、「他のWebサイトは税込表示でわかりやすいのに、このWebサイトは税込・税抜き表示がバラバラで見にくい」などの声が挙がるリスクもあります。よって、金額表示に関するトラブルに繋がることもあるでしょう。また、「法律に対応していないホームページ」として信頼性も下がり、売上にも大きく関わる危険性も考えられます。読者からの信頼を保つためにも、出来る限り早く消費税総額表示に対応しましょう。
罰則が設けられた際のリスクが上がる
消費税総額表示に対応しない場合、罰則が設けられたときのリスクが急激に上がります。現時点で消費税総額表示ができない場合の罰則はありません。しかし今後、罰則が付けられる可能性はあります。また、消費税総額表示に対応しないことで、一般消費者からのクレームが増えることもあるかもしれません。企業のコンプライアンスの観点からも問題になるリスクがあります。そのため、罰則が設けられてしまう前に消費税総額表示に対応しておきましょう。
読者の混乱を招く可能性がある
消費税総額表示に対応しない場合、読者の混乱を招く可能性があります。サイトを訪れたユーザーが、「他のWebサイトは税込表示なのに、このWebサイトは税込表示ではない」と戸惑うこともあるでしょう。各Webサイトごとに金額表示がバラバラの状態だと、読者が商品やサービスの購入を検討する際に、金額を正しく見比べられません。結果的に読者は購入をやめて、Webサイトからも離脱をするリスクも考えられます。信頼性がダウンし、読者も離脱してしまっては、企業価値が下がってしまうでしょう。読者を混乱させないためにも、信頼性ダウン、罰則リスクなどを確実に防ぐ必要があります。また、読者の離脱も防ぎ、売り上げに繋げるためにも重要です。読者がわかりやすく金額を確認できるようにするためにも、早急に消費税総額表示に対応しましょう。
【チェック】正しい消費税総額表示の方法
消費税総額表示は、事業者が一般消費者に対して義務づけられたものです。正しい消費税総額表示をしなければ、前述で触れたようなデメリットが生まれる可能性があります。事業者にとってはマイナス要素しかありません。正しい消費税総額表示が、一般消費者に安心して商品やサービスを購入してもらうことに繋がります。正しい消費税総額表示の方法についての一例は以下の通りです。
正しい消費税総額表示の具体例 |
---|
16,500円(税込) |
16,500円(税抜価格15,000円) |
16,500円(うち消費税額1,500円) |
16,500円(税抜価格15,000円、消費税額1,500円) |
16,500円(税抜価格15,000円、消費税率10%) |
15,000円(税込価格16,500円) |
上記のように、税込み価格を必ず記載するのが正しい消費税総額表示として認められています。参考に、自身の商品・サービスの価格表示を見直してみてください。
消費税総額表示の対象となるものは?
消費税総額表示の対象となるのは、店舗の値札やチラシだけではありません。消費税総額表示の対象となるのは、下記の通りです。
- 商品に貼り付ける値札、商品パッケージなどの商品本体の価格表示
- 店内表示や商品陳列棚の金額表示など店舗における価格表示
- ECサイト内の金額表示や商品カタログの価格表示
- 新聞折り込みチラシやDMなどで配布するチラシの価格表示
- 新聞・雑誌・テレビCM・ホームページ・DMなどの広告における価格表示
- 店舗のメニュー・ポスター・看板などの価格表示
上記のように、一般消費者に対して表示する価格であれば、媒体に関わらず消費税総額を表示する必要があります。「少しくらい抜けていてもであれば問題ないだろう」とは考えず、細かな部分も確実に消費税総額表示をしましょう。
消費税総額表示の罰則に関する気になる8つの質問
ここでは、消費税総額表示の罰則に関する気になる8つの質問をまとめました。
- 見積書や請求書も総額表示の対象?
- 円未満の端数はどう表示する?
- 単価や手数料の表示はどうする?
- 会員制サービスでの価格も総額表示の必要ある?
- 消費税総額表示価格の文字サイズに決まりはある?
- メール・チャットでの価格表示も総額表示義務の対象?
- セール時は消費税総額表示の義務の対象になる?
- 希望小売価格も総額表示すべき?
それぞれ順番に解説します。
見積書や請求書も総額表示の対象?
見積書や請求書は消費税総額表示の対象になりません。消費税総額表示は、商品の値札やチラシで価格を表示する場合が対象だからです。また、チラシやホームページなどでは、見積り例として金額を表示していることがあります。その場合は、一般消費者に対する価格表示に該当するため、消費税総額表示の対象になるので注意しましょう。念のため、漏れのないように見積書や請求書の作成方法についても見直しておいてください。
円未満の端数はどう表示する?
円未満の端数表示は、それぞれの事業者の判断に委ねられています。消費税総額表示は、一般消費者が値札やチラシを見ればすぐに支払い金額がわかるようにするためのものです。消費税総額表示における税込価格は、現在の税抜価格に消費税金額を上乗せしたものです。そのため、価格と税率の組み合わせによっては、上乗せする消費税金額に端数が生じることがあるでしょう。その場合は、端数の処理は切り上げや切り捨て、四捨五入をします。どのように処理して税込価格表示とするのかは事業者次第です。商品やサービスに対してしっかりと税込価格表示をしていれば問題ありません。
単価や手数料の表示はどうする?
商品の単価や手数料についても、消費税総額表示の対象になります。精肉店の量り売りやガソリンなど、一定量で販売する商品も対象です。不動産仲介手数料や有価証券の取引手数料についても同様に扱われます。消費税総額表示の対象になる商品単価や手数料の表示例は下記の通りです。
税抜表示 | 消費税総額表示 | |
---|---|---|
精肉店の量り売り(消費税8%) | 100グラム150円 | 100グラム165円 |
ガソリン・灯油(消費税10%) | 1リットル175円 | 1リットル192円 |
土地仲介手数料(10%) | 売買価格の3.00% | 売買価格の3.30% |
単価や手数料は、事業者でもなかなかチェックが行き届かない場合もあるでしょう。しかし、上記のように細かな部分を消費税総額表示にすることで、一般消費者も支払い金額を確認しやすくなります。
会員制サービスでの価格も総額表示の必要ある?
会員制サービスでの価格も消費税総額表示の対象です。会員制サービスには、会員制ジムや会員制ゴルフ場などが挙げられます。「会員しか使わないサービスは、わざわざ消費税総額表示にしなくてもいいのでは?」と考える事業者もいるでしょう。確かに利用者は会員のみです。しかし、会員制サービスの中には、条件や対象者を定めず、誰でもすぐに会員としてサービスを利用できるものがあります。これは、不特定多数の一般消費者を対象にしているのと変わりません。そのため、会員制サービスについても消費税総額表示に対応しておくことをおすすめします。
消費税総額表示価格の文字サイズに決まりはある?
税込価格が税抜価格よりも小さく書かれているのはNGです。例として、「トマト1個100円(税込価格110円)」という値札があったとします。税抜価格がメインの表示でも、税込価格が表示されていれば問題ありません。しかし、税込価格の表示が小さいと、一般消費者が見逃す可能性があります。そもそも、消費税総額表示は一般消費者の誤認防止が目的の一つです。そのため、消費税総額表示価格の文字を小さくしたり、色を薄くしたりするのは好まれません。文字サイズや文字色、税抜価格の表示有無など全体的に見直すことをおすすめします。
メール・チャットでの価格表示も総額表示義務の対象?
メール・チャットでの価格表示は、消費税総額表示義務の対象外です。国が消費税総額表示の対象者としているのは不特定多数の一般消費者になります。メールやチャットは個人とやり取りをするツールであり、個人については国が定める条件に該当しません。また、ホームページから商品やサービスの問い合わせが入ることもあるでしょう。メールやチャットで問い合わせ対応することもあります。この場合の「概算見積もり」も個人に対して行うことのため、消費税総額表示義務に該当しません。
セール時は消費税総額表示の義務の対象になる?
セール時は消費税総額表示の義務の対象外です。「〇〇セール」は価格表示がメインというよりキャッチコピーに近いものになるからです。ただし、ホームページで「テレビが32,000円」などと書く場合は税込価格で表示しなければなりません。セール時の消費税総額表示について、100円ショップを例として考えてみましょう。100円ショップにも消費税はかかります。100円ちょうどの商品を置いている店舗はありません。それでも100円ショップでは「100円均一」という表現が許可されています。それは、「100円均一」という表現がキャッチコピーに近いものだからです。このように、価格メインの表示でなければ、セール時も消費税総額表示の義務の対象にはなりません。
希望小売価格も総額表示すべき?
希望小売価格は消費税総額表示の対象になりません。希望小売価格は、事業者が一般消費者に対して表示する価格ではないからです。しかし、希望小売価格をそのまま一般消費者への販売価格として利用する場合は消費税総額表示の対象になります。また、希望小売価格が税抜価格で表示されている場合は、必ず税込価格を表示しなければなりません。希望小売価格は消費税総額表示の対象ではありませんが、誤解を防ぐためにも希望小売価格を税込価格に変更するのも一つの手段です。
消費税総額表示の罰則まとめ
現時点で、消費税総額表示ができない場合の罰則はありません。しかし、消費税総額表示に対応しないことで、さまざまなデメリットが生じます。読者の信頼性がダウンしたり読者の誤解を招いたりと、事業者にとってマイナス要素しかありません。罰則が制定されたときに消費税総額表示に対応していない場合のリスクも大きすぎます。法律違反でなかったとしても、商品に興味がある人が離れる可能性もあるでしょう。一般消費者に安心して商品やサービスを購入してもらうためにも、消費税総額表示への対応を早めに検討してみましょう。